痛みが良くならない原因は・・・破局的思考!?
心療内科を受診される慢性疼痛の患者さんで、とある思考パターンの方にしばしば出会います。
その思考パターンとは、、、
「破局的思考」

今回は、痛みと関係の深い「破局的思考」について解説します。
破局的思考とは?
破局的思考とは、その名の通り、破局的に物事を捉えやすい考え方のクセのことです。
より正確には 「痛みに対する誇張された否定的な思考」 のことを指します。
破局的思考パターンと慢性疼痛の関係
この破局的思考、心療内科で良く出会う慢性疼痛との関連性が多くの研究で明らかになっています。この破局的思考があることが慢性疼痛がなかなか治らない要因の一つであることもあるということです。従って、逆に言えば 、慢性疼痛を良くする一つの方法として、この破局的思考パターンに気付き、対処していく事が求められます。
破局的思考の3つの要素
破局的思考は3つの要素に分類されます。
①反芻(はんすう)
②無力感
③拡大視
①の反芻(はんすう)は、あまり聴きなれない言葉かもしれません。これは痛みやそれに関連した考えにあれこれ考えをめぐらすことのことを指します。
②の無力感とは、「私は痛みに対して出来ることは何もない・・・。」と感じること。
③の拡大視とは、実際の痛みより拡大解釈して痛みによる影響や将来への不安などを考えてしまうことです。
これら3つの指標を点数化するのが、Pain Catastrophizing Scale(PCS)というものです。

破局的思考への対処法
破局的思考は考え方のクセなので、すぐさまに治すことはできません。ましてやこれに対するお薬などはありません。
加えて、例えば反芻(痛みのことをあれこれ考えてしまう)が強い人に、「痛みのことは金輪際考えないようにしてください!」といっても無意味であるばかりか、逆効果であることもあります。
従って、破局的思考の原因となる根っこがあれば、そちらのほうにアプローチしていきますし、最近大流行のマインドフルネスなどは、痛みを受容しつつも、他の事に意識を向けることによって、この破局的思考に対処する方法です。
まとめ
今回は、慢性疼痛と関係性の深い 「破局的思考」について解説しました。
「破局的思考」だけでなく、日ごろ我われは無意識のうちに、自身の思考の傾向・パターンを持っていて、その通りに考えてしまう傾向があります。
自分の思考のパターンに気がつき、修正できる部分は修正してみましょう。