過換気の注意点~ペーパーバッグは時代遅れ!?
今回は「過換気」について取り上げます。
「過換気発作」の経験がある方は、少なくないのではないかと思います。
今回は「過換気」について、その注意点を分かりやすく解説します。
「過換気」とは?
われわれが通常の呼吸をしているとき、血液の中の酸素濃度(酸素飽和度)はほぼ100%です。肺炎や心不全で息苦しさを感じるとき、その大多数は、この血液中の酸素濃度が低下することを脳がキャッチし、「息苦しい!」と感じます。通常、肺の病気がない人であれば、90%を切ってくるとかなりしんどくなります。

一方で、「過換気」では酸素の低下を伴わなくても「呼吸困難」を感じます。
また「過換気」によって、血液中の二酸化炭素濃度が低下するため、手足が動きにくかったり、しびれたりすることもあります。
この原因として精神的不安や極度の緊張などの心理的要因が知られており「「過換気」も心身症の一つです。
「過換気」の自己判断は絶対ダメ!
過換気発作と思っていたら、別の病気だった!という事が、われわれ医療者が一番気をつけなければなりません。
従って、「過換気発作」と自己判断するのは(少なくとも繰り返しているわけではない、初回の発作の時には)非常に危険です。
間違いやすい病気としては
・肺炎
・心不全
・肺血栓塞栓症(肺の血管に血栓が詰まる病気)
などがあり、これらを診断するためには、それ相応の検査が必要です。
従って自己判断でなく、出来る限り病院を受診するようにしましょう。
「過換気」にペーパーバッグは危険!
またもう一つ危険なのが、過換気に対して「ペーバーバッグ法」を用いることです。この 「ペーバーバッグ法」 は以前は良く行われてました。しかし、最近では逆に酸素状態が悪化して危険ということで、ほとんどされなくなっています。
そもそも、 「ペーバーバッグ法」 が効く根拠としては、バッグの中の二酸化炭素の濃度が徐々に上昇し、それを吸うことで徐々に呼吸が落ち着くという理論なのですが、二酸化炭素の上昇幅は非常に低く、最近では先に述べた通り、デメリットのほうが大きいとされています。
また過換気症候群自体は、ずっと続くわけではありません。気持ちを落ち着けるように声かけをする(特に長く息を吐くように誘導する)だけで、大概は良くなるものです。
発作が続く場合には、抗不安薬(安定剤)を内服する場合もあります。
まとめ
過換気は心理的な恐怖感も伴い、悪循環に陥ることも少なくありません。過換気発作を繰り返す過換気症候群、またパニック症などの可能性もありますので、特に初回の発作の時にはかならず病院を受診されることを強くオススメします。