糖尿病(心身症)の治療法
糖尿病は代表的な心身症の一つです。
糖尿病の治療といえば、
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
が三本柱なのは、糖尿病の治療を実際に受けられている方はよくご存じかと思います。
ただ、実際にこれらをやろうと思っていても、うまくいかない、中途半端になってしまうといった声はよく耳にします。
今回は、糖尿病に対する心療内科的な治療について解説します。

心身症としての糖尿病の考え方
糖尿病は、いまや高血圧症・高脂血症(脂質異常症)とならんで、最もよくしられた生活習慣病の一つです。この原因は様々ありますが、その一つに生活習慣の問題が挙げられます。
具体的にはストレスが溜まってやけ食いしてしまう、知らず知らずのうちに甘いものに手が伸びてしまう、口寂しくなると間食をしてしまう。などです。
これらはすべて、「心身症としての糖尿病」に含まれます。
というのは、
心身症とは・・・ストレスに関連した身体の病気
もう少し詳しくすると、
心身症とは・・・その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与する身体の病気
であるからです。
糖尿病(心身症)に対する心療内科的アプローチ
ではこの心身症要素の強い糖尿病にどのように対処すべきでしょうか?
理想論・精神論としては、我慢!とかストレスフリーに!とかなるでしょうが、実際にはこれではうまくいかないことがほとんどです。
糖尿病に対する心療内科的アプローチはいくらか方法が知られていますが、今回は代表的な2つ、行動変容理論と動機づけ面接について取り上げます。
行動変容理論とは?
皆さんの「行動が変わるきっかけ」はなんでしょうか?
そんなこと考えたこともない!という方も多いかもしれませんが、
行動変容の理論の一つに「重要度」と「自信」から考えるという方法があります。
すなわち、重要度が高いものは行動に直結する、低いものは行動しない。
例えば明日の会議までに何か資料を準備するように依頼されたとします。これで行動しない人はまずいないですよね。
ただ、明日のお昼ご飯は、ヘルシーな野菜サラダにしようか、近くのおいしいラーメンにしようかといった場合、これはサラダにする重要性があまり感じられないと、それを選択する行動にならないのではないでしょうか?
一方で、自信は低すぎると行動に移りません。「どうせやっても駄目だから…」とあきらめモードに入ってしまします。
したがって、重要度と自信がどのくらいの位置にいるのか、それらを高めるにはどうしたらいいのか?を患者さん自身と一緒に考えるのが、心療内科的な治療の一つです。
動機づけ面接とは?
「動機づけ面接」は変わった名前ですが、れっきとした心理療法の一つです。
「動機づけって、日常用語だけど、それを意図的にできるの?」と思った方も少なくないと思います。
実際、この動機づけ面接は理論に基づいた面接(会話)によって、個々の動機を高めていく手法になります。
詳細は別に取り上げますが、最近では、糖尿病だけでなく各種の依存症や禁煙、医学以外の領域でもよく用いられるようになってきています。
まとめ
今回は糖尿病(心身症)に対する心療内科的アプローチについて解説しました。
なかなか糖尿病の治療はうまくいかないことも多いのでですが、そんな中でも心療内科的な治療は スパイスとして 効くことがしばしばあります。
糖尿病がなかなか良くならない…そういった方は一度主治医の先生と相談してみましょう。