とっても身近な心身症③糖尿病
え?糖尿病って心身症なの?と思った方、非常に多いのではないでしょうか。
糖尿病はとても身近な心身症の一つです!

簡単におさらいすると、心身症とは「ストレスによるからだの病気」、もっと平たく言うと「ストレス病」ということでしたね。
その理由を解説していきましょう。
ストレスが原因で糖尿病になる!?
糖尿病の原因は様々あり、遺伝的な要因、生活習慣の要因、血糖値に影響を与えるホルモンの出具合の要因などが挙げられます。
このうち、生活習慣に関わる部分にはストレスが関係しているのはなんとなく想像できるかと思います。例えば、何かイライラすることがあって、やけ食いしてしまうとかですよね。
また実は、ホルモンもストレスの影響を受けることが知られています。特に血糖を上昇させるホルモン(カテコラミン・コルチゾール)などはストレスを長期間にわたって受け続けると増加するといわれていて、これが更なる糖尿病の悪化を招きます。
すなわち、ストレスが糖尿病の原因の一つになっているのです。
糖尿病になるストレス・・・
また、糖尿病になるストレスも様々知られています。

例えば、
自分が糖尿病であることを認めたくない「否認」
糖尿病と言う「情けない病気」になってしまったという社会からの冷たい視線
さまざまな合併症への恐怖
などです。
このように、ストレス→糖尿病→ストレス→糖尿病と心身相関の悪循環になってしまうことさえあります。
とっても大事な「セルフケア能力」
糖尿病を治せるのは患者さん自身です。もちろん病院に行けば糖尿病のお薬やインスリン(血糖を下げる注射)をもらったり、栄養指導を受けたりすることも出来ます。
しかし、実際に薬を飲んだり、食事療法をしたり、運動をしたりするのは患者さん自身です。
上のように、悪循環に嵌っていると、自暴自棄になって(専門的には『自己効力感の低下』といいます)、このような上手な自己対処、すなわち「セルフケア」が出来なくなってしまいます。
糖尿病の治療において、最も重要な『セルフケア能力』を高めていくためにも、心療内科医が糖尿病(心身症)の治療に関わっていくことも、時に必要です。
まとめ
心身症としての糖尿病について解説しました。
厚生労働省の平成28年の調査によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、約10人に1人と、いまや国民病になっています。

その中でもストレスに上手く対処できずに、糖尿病と上手く付き合えていない方は、一度心療内科の受診を検討されてはいかがでしょうか?