せん妄…それ認知症ではありません!

ノイローゼの人のイラスト(男性)

心療内科医が対応する疾患は、主として「心身症」ですが、サイコオンコロジーやサイコネフロロジー領域では、時に「せん妄」への対応も行います。

一般の方には「せん妄」はあまり知られておらず、一見すると認知症が急に進んだかのように思われることも多いので、今回は「せん妄」と「認知症」の違いについて解説します。

違い その① 時間経過

せん妄と認知症ではまず時間経過が異なります。

認知症は早くても週~月、時には年単位での病状変化があるのに対して、せん妄はたいていの場合、日の単位で悪くなったり良くなったりします。

またせん妄は一日のうちでも症状のムラがあるのが特徴で、夜に良くわからないことを言っていて、自分がどこにいるか分からない症状が出ていたとしても、日中はケロッとしていて、全く普段と変わらないという事もしばしばです。

違い その② 原因

認知症の原因は (治療可能な認知症を除いて) 主には脳の病気ですが、せん妄の原因はその多くが、脳ではなく身体の病気です。

例えば、感染や脱水、ミネラルバランスの異常が原因となることもありますし、お薬が原因でせん妄になることもあります。

したがって、せん妄の場合には「なぜ?」それが起こっているのか、原因をしっかり突き止める努力が必要です。

違い その③ 治療可能性

その②にも関連して、せん妄は治療可能なことも少なくありません。

もちろん亡くなる直前に出てくるせん妄もあり(これを「終末期せん妄」と呼びます)、これは治療が難しいこともありますが、例えば感染によるものであれば感染の治療を、脱水であれば脱水の補正を、ミネラルバランスの異常であればそれを正常に戻すことによって改善するせん妄は非常に多くあります。

一方、認知症の場合には、一応認知症に対する薬剤はありますが、劇的に良くなるわけではなく、あくまで進行抑制のための薬です。

したがって、せん妄か認知症かを見極めるのに、原因の特定および治療への反応性を考えることは非常に大切です。

まとめ

以上、せん妄と認知症の違いについて解説しました。

せん妄はその多くが精神科医に相談されることが多いのですが、私の持論としては、原因検索やその対策という視点では、内科医の方が向いているのではないかと思います。

いずれにせよ、入院中に急に変なことを言い出した!などがあっても、認知症ではなくせん妄の可能性が高いので、現状どういう風に考えているのか、是非医療者に質問してみてください。

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