痛みは記憶!? ~慢性疼痛(慢性痛)の治療~

心療内科で診療することの多い慢性疼痛(慢性痛)。

今回は、この慢性疼痛の治療において、鍵となる考え方の一つをご紹介します。

そもそも痛みとは・・・

痛みの定義を復習してみましょう。

痛みとは医学用語では「疼痛(とうつう)」と言います。

この「疼痛」の定義を定めているのが国際疼痛学会で、ここでは下記のように定義されています。

「実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に表現されるような、不快な感覚体験および情動体験」

頭痛のイラスト(男性)

ここでのポイントは2つです。

・実際に何らかの損傷(けが)がなくても構わない

・不快な体験である

従って、明らかな怪我(外傷)や内臓の病気がなくても痛みを感じることはあるのです。

まずはこの前提を押さえていただきたいと思います。

急性痛と慢性痛の違い

その上で、急性痛と慢性痛の違いについて考えます。

急性痛とは短期的な痛みのことで、慢性痛と言うのはそれが長引いて持続した状態を言います。

この持続する期間は3ヵ月とか6ヶ月とか諸説ありますが、いずれにしても「長びく痛み」のことを慢性痛と呼びます。

この急性痛と慢性痛は根本的に考え方が異なります。
急性痛は炎症が起きたり、神経が障害されたりして起きる一時的な反応です。
一方で、慢性痛はその痛みに関連して心理的・社会的・行動学的な変化も生じてくるため、「全人的苦痛」として捕らえる必要が出てきます。

慢性痛の鍵となる「記憶」との関係

とりわけ、慢性痛と痛みとの関連の研究が近年盛んになってきています。

試しにどこかに足の指をぶつけた、脛をぶつけたなどの記憶をさかのぼってみてください。恐らく経験はあるでしょうが、ずっとその記憶に支配されていることはなく、思い出したら思い出す程度だろうと思います。

しかし慢性痛の場合には、常にこの記憶が頭の中にあって、

「痛み
 →また痛くなるんじゃないか(記憶)
 →痛くなったらどうしよう(不安・恐怖)
 →過度な行動の制限
 →痛み・疲労物質の蓄積
 →痛み」

という悪循環に陥っていることがしばしばあります。

慢性痛への対処法(痛みを書き出してみる)

ではこの記憶と関係する慢性痛にどのように対処すればよいでしょうか?

慢性痛の治療法はさまざまありますが、そのうち比較的容易に実践しやすいのが、痛みを実際に書き出してみるというものです。

下は実際に外来で用いている表ですが、このような表に痛みの程度を0(まったく痛くない)から10(絶えられないくらい痛い)の間でどれくらいだったかを逐一書き留めていく方法です。

これをする事により、「あぁあの時痛みあったけど、そんなでもなかったな」とか「あのときの痛みより今のほうが痛いかも・・・」と目に見える形で自分自身でも把握する事が可能になります。(他にもどのような対処法を取ったら良かった・悪かったなども同時に把握できるメリットもあります)

人間の記憶は非常に曖昧であるということを認識しておきましょう。

神経細胞・ニューロンのイラスト

まとめ

慢性痛の鍵となる記憶との関係について説明しました。

長びく痛みを抱えている方は、是非一度手帳や日記に痛みの経過をつけてみることをオススメします。

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