治りにくい喘息…その原因は?
喘息(気管支喘息)は非常に多くの方が持っている呼吸器の病気の一つです。
かつては心療内科の外来にも気管支喘息(心身症)の患者さんが溢れていた時代もあったようですが、現在では吸入ステロイドという特効薬が出来た影響で、その数は激減しています。
しかし、治りにくい喘息として心療内科に紹介になる患者さんもおられます。
今回はその原因について、代表的な3つを解説します。

原因① 吸入が上手く出来ていない
最も多いのがこの「吸入が上手く出来ていない」事があります。専門的には「アドヒアランス不良」と言います。
これにはさらに2つの要因があります。すなわち
① やること自体を忘れている/忙しくて出来ない
② やろうと思っているが出来ない
です。
①の場合には、吸入方法や時間の見直しが必要なことは言うまでもないでしょう。例えば一日2回吸入するのが難しければ、一日1回の薬に変更してもらう。吸入し忘れる事が多ければ、毎日必ず立ち寄る場所(洗面台など)に置いておくなどの工夫が出来るでしょう。
②は少し解説が必要かもしれません。現在、吸入薬はものすごく多くの種類が発売されています。一例を挙げると、ドライパウダータイプと言って自分で小さい粉を自分のタイミングで吸うタイプや、エアロゾルタイプと言って、噴射された薬剤を吸うタイプなどです。
これらは人によって適不適があり、適切な吸入の種類を選択しないと、処方はされたが、十分に薬液が気管支や肺に到達しないという自体が容易に起こります。
もちろん、処方される段階でお医者さんもしくは薬剤師さんなどから指導はあると思いますが、なかなか治らない喘息の場合には、吸入がきちんと出来ているかの見直しが必要になります。
原因② 他の病気を合併している
二番目に多い理由が他の病気の合併です。特に多いのが
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・心不全
です。
これらはいずれも呼吸が「ヒューヒュー」なる点では気管支喘息と共通しており、一般の方はもちろん、医療者でも間違うことはしばしばあります。
加えて検査でも区別がつかない、あるいは合併が疑われることもあり、その場合には双方の治療が必要になります。
特に喫煙に伴うCOPDの合併はACO(喘息とCOPDのオーバーラップ;オーバーラップ症候群)として近年注目されています。
原因③ 常に心理的ストレスに晒されている
そして最後に挙げるのが「心理的ストレス」すなわち心身症としての要素です。
最初にも述べたように、気管支喘息の一部は心理的ストレスによって悪化します。
もちろん、心理的ストレスをゼロにすることは出来ないかもしれませんが、心療内科に通院し、ストレスに対する適切な対処方法(ストレスコーピング)を習得することで、症状を改善させることは可能です。
まとめ
喘息が治りにくい原因を3つ解説しました。
特に喘息では吸入薬がきちんと吸えているか?が非常に重要なので、心配な方はかかりつけの先生に相談してみることをおすすめします。