拒食症の恐ろしさを語る。
心療内科で診る病気の中で、最も治療が難しい病気と言えば、まず間違いなく摂食障害と言えるでしょう。
とくに神経性やせ症(いわゆる「拒食症」)は、様々な合併症もあり、時に死に至る病でもあります。
今回は拒食症の代表的な合併症について解説します。

合併症 その1:精神症状
まず挙げられるのは精神症状です。
摂食障害そのものが頭の機能の異常をきたしてし合うという報告は多数ありますが、特に思考力の低下や、抑うつ状態、不安の増大などが、良く見られます。
また「強迫症」的な部分も多く見られ、食事やカロリーの事に関して頭がいっぱいになり、「わかっちゃいるけどやめられない」こだわりが出たりもします。
患者さんによっては盗癖が出たりもしますので、犯罪につながることもあります。
合併症 その②:身体症状
体重が減ると、様々な身体の合併症も起こります。
代表的なものとしては
・骨粗しょう症
・続発性無月経
・貧血・低栄養
・脳委縮
・各種臓器障害(腎機能障害・肝機能障害)
などがあります。
そしてこれららの身体合併症は、低体重にさらされている期間が長ければ長いほど、この率が高くなり、また元に戻らなくなる可能性も高いため、早期対応が非常に重要です。
合併症 その③:過食や嘔吐・利尿薬の使用によるもの
拒食症と言っても大きく二つのタイプがあり、単に食事をしない(制限型)ではなく、食べ過ぎて吐く、もしくは薬でやせるなどの方(過食‐排泄型)の方の場合には、それによる合併症も生じます。
具体的には
・虫歯(胃酸で歯が溶けてしまう)
・電解質異常(頻回の嘔吐や利尿薬などを使った場合)
・肥満・糖尿病
などです。
まとめ
以上、神経性やせ症の代表的な合併症についてまとめました。
摂食障害の治療は、時期が遅れれば遅れるほど、難しくなります。
もしご自身あるいは身内の方で、拒食症の疑いがある方は、早めの受診をお勧めします。