アレキシサイミア(失感情症)とアレキシソミア(失体感症)
今回はアレキシサイミアとアレキシソミアを取り上げます。
この二つ、非常にカタカナで書いても漢字で書いても非常に似ていますが、
心療内科や心身症を語るうえで非常に大切な概念です。
今回は、この二つを分かりやすく解説します。

アレキシサイミア(失感情症)とは…
アレキシサイミア(失感情症)とは、漢字をそのまま受け取ると、感情を失ってしまったかのような印象を受けますよね。
実際には
「感情への気づきが乏しい状態」
または
「感情をうまく表現できない状態」
の事を言います。
アレキシサイミアと心身症の関係は古くから様々な研究で報告されており、感情の表出ができない分、身体に症状が出やすいものと考えらえています。
アレキシソミア(失体感症)とは…
一方のアレキシソミア(失体感症)とは、体感、すなわち身体の感覚を失ってしまう、これもアレキシサイミアと同じように、感覚がないわけではなく、
「身体感覚への気づきが乏しい状態」
という訳です。
この身体感覚というのは非常に重要で、普段われわれは生活している中で、様々な体の感覚を用いて生きています。
例えば触覚、例えば痛覚、、、など。
これらの感覚を鈍らせなければいけないほどに、身体からの黄信号(もしくは赤信号)が出ていると状態と考えて良いでしょう。
アレキシサイミアとアレキシソミアの関係
前述のように、アレキシサイミアに関しては心身症との関係が様々研究報告がありますが、アレキシソミアはあまりありません。
それもそのはずで、アレキシソミアは日本に心療内科が取り入れられて以後、1979年に日本の心療内科の開祖ともいうべき 池見酉次郎 が提唱した概念だからです。
その後の報告で、糖尿病や気管支喘息、心筋梗塞など様々な心身症要素を持つ病気にこのアレキシソミアが関係していることが明らかになってきました。
まだ今後の研究が必要ですが、アレキシソミアはアレキシサイミアと密接に関わって心身症の一因になっているのではないかと思います。
まとめ
心療内科で非常に重要な概念であるアレキシサイミアとアレキシソミアについて解説しました。
いずれも「気づきに乏しい」という点では共通しており、治療の過程で、この『気づき』をどのように回復していくかが、治療上のカギになります。